第70回 九州精神医療学会
学びを止めないということ
~第70回 九州精神医療学会(2025・佐賀)に参加して~

このたび、九州精神医療学会において、自施設の職員2名が、それぞれ1演題ずつ研究発表を行いました。発表者は、緊張感の中にも落ち着いた態度で臨み、日頃の実践をもとにした研究成果を堂々と発表しました。会場からの質疑応答にも的確に対応し、聴講者からは高い評価をいただきました。日々の看護実践を言語化し、学会という場で発信する姿に、私は大きな感動と誇りを覚えました。
医療やケアの技術は、想像を超えるスピードで進化しています。私自身、学びが追いつかないことに、ふと不安を覚えることがあります。専門職には「生涯学習」という言葉が当たり前のように語られる一方で、日々の業務に追われるなか、知らず知らずのうちに学びが止まっていたことに気づかされる場面もありました。過去の成功体験に頼り、「これで十分だ」と思ってしまう安心感が、成長を妨げる壁となっているのではないかと感じることもあります。新しい情報に触れる機会を逃し、挑戦する意欲が薄れていく――そんな自分に、日常のなかでふと危機感を抱く瞬間があります。
新しいことを学ぶと、これまでの自分の考えが揺らいだり、どう受け止めるべきか迷ったりすることもあります。しかし、それでも学び続けることには大きな価値があり、変化の激しい時代を生きる私たち専門職にとって、何よりの力である――そのことを、あらためて実感しました。これからも、日々の気づきを大切にしながら、私たち一人ひとりが思考や姿勢を少しずつ「バージョンアップ」させていけたらと思います。そして、学び得た気づきをチームで共有し、看護実践のなかで、患者さん一人ひとりにとってより良いケアとして還元していけるよう努めてまいります。
最後に、今回の発表にあたり尽力してくれた発表者をはじめ、研究論文作成にご協力いただいた各部署の皆様、そして当日、応援に駆けつけてくださった同僚の皆様に、心より感謝申し上げます。
昌生会 看護部長 石橋 朋之
